これくらいでいったい何がそんな逆鱗に触れるのか、といったことがなくはない。ネットだと顔が見えない分、余計にその要素が強くなる。
例え話をしよう。 あなたは飯屋でバイトをしていて、ある客から豆腐の注文を受けた。醤油とポン酢を選べて、その客はなんとなしにポン酢を選んだ。特にそこにこだわりはなさそうに見える。
いざ厨房へ行ってみると、ポン酢はちょうど在庫を切らしている。仕方がないので「お客様、申し訳ございません。只今ポン酢をきらしておりまして、醤油しかご用意できません。如何致しましょうか。」と例の客に聞いた。これが逆鱗に触れ、「俺はいつもポン酢で食べるんだ!なぜ醤油しかないんだ!」と叱責される。
そりゃ店長が入荷をミスったか、バイトリーダーが在庫をいい加減に数えたか、おそらくそのへんだろう。しかし、客は別にそれを聞きたい訳じゃない。怒ったところでポン酢が泉の如く湧き出てくるか、といってそんなことはありえないのは自明である。もしそんな泉が存在すれば、私は大変嬉しい。
結局のところ、例の客がポン酢豆腐を食えなかった理由は明確にただ一つである。店長が、バイトリーダーが、とか、そんなのは関係ない。「この店に来てしまった」つまり、「運が悪かった」のである。従って、アルバイトであるあなたが例の客に叱責された理由も「運が悪かった」ためである。
結局のところ、人の気持ちなんて虫の居所次第であり、唯一コンピュータと同じなのは「バグが全ての原因である」ということなのだ。